~研究会とともに21年~ 私のひとりごと④
「これでは、同好会や異業種交流会の類ですネ」。
中央会の担当者は、何回目かの事前相談の時、「収支計画案」に目を通しながら
「経営基盤の要件が不充分」として「ダメ出し」をしました。
今も年度報告時に「???」!
認可要件不充分のまま、
設立後、発起人5名の5社が幹事会社となり、社会問題となっていた「欠陥住宅」や
「価格の透明性」に向けて取り組むことになります。
一因とされた重層的な元下請負関係は、元請は従来の責任のまま、
下請けは各専門業者の施工責任を明確にする研究会独自の契約約款をつくり、
横請け型に、それを「K-ネットシステム工事」と名付けて責任施工体制を表示、
「建築設計、監理業務委託基本契約書」と連携させ、試行錯誤してみることになりました。
また、「品質性能」、瑕疵担保の問題については、
当時、既に、大手業者やハウスメーカーが、グループの共済制度で優位性を盛んに
アピールしていました。
研究会では、AIU(現AIG)保険会社と連携して、
業界初とも言える「検査機構」の検査を受けずに、
研究会独自の検査が可能となる「KSK性能保証制度」を創り出すことになります。
堀尾結実(ファイナンシャル・プランナ-・本会監事)さんの尽力の賜です。
認可要件不充分のまま、「協同組合」の社会的信頼を活かし、
公的な支援を受けながら、当時の社会問題に取り組みます(調査事業で報告)。
11件の新築と改修工事。3件の依頼による検査と2件の自主検査は、
このような背景の下での実績となりました。
20年の歳月を経て、見えてきた「欠陥住宅」の問題は、
性能保証を表示する「制度」となりました。
この制度は、国が「良い家」の基準を定めて、管理するものです。
「良い家」の基準というより「管理」がし易い制度と言えます。
極論すれば、要するに、工業化製品・機械で作った大量生産できる材料は、
品質が一定、性能が表示でき、表示できれば、良い材料であり、良い家と判断。
木、石、土という自然素材は、同じものがないという理由で、
品質がバラバラ、性能が表示できず、悪い材料、悪い家と評価される制度と言えます。
また、「造り方」は、材料よって変わるもので、
ラインで組み立てられる工業製品は、数値が一定で良い家、
職人の匠の技は数値が一定になりづらく悪い家、と、評価される傾向に・・・。
更には、それを評価し、見える化・明確化するために等級のランクを付け、
それに応じて補助金や取得減税、住宅ローンの金利下げ等、
さまざまな優遇措置がとられることになるのです。
大手業者、ハウスメーカ-にとって有利な基準、制度です。
参入する「機会は平等、結果は不平等」という自由競争が、
「今」、現実のものとなってきているのです。
そして、この現実は、「長期優良住宅制度」によって、
「結果不平等」の格差は、より大きなものになってきています。
極論すれば、「長期優良住宅」仕様以外は、
基本的には「建ててはいけない」という制度で、同じ家を造れということになります。
広告宣伝、発信力等資本力に優る大手業者、ハウスメーカーに有利な制度です。
時代の潮流は、自由競争が「許容」され「尊重」され、
勝者が「尊敬」される方向へ加速しています・・・。
「日本の生産性が低い(2019年・世界28位)のは、中小企業が多いから」
「中小企業は小さいことが罪」(アービット・アトキンソン:経済情報誌プレジデント
2020・5・29号)。
アービット氏は、菅首相のブレーンです。
12月1日、政府が決定した「成長戦略実行計画」の柱は、
中小企業の「規模の拡大」です。手段は、M&A(合併・買収)。
これまでの中小企業振興支援政策の大転換となります。
何回目かの認可事前相談の時、中央会の担当者は「収支計画案」に目を通しながら、
組合活動の「拠点」と、活動を支える「スタッフ」の経費(「地代家賃」「職員給与手当」)が計上されていないことを「経営基盤の要件不充分」と指摘されました。
それらの経費と専用電話等の事務所備品を含めて「運営費」として計上。
「要件不充分」での認可は、実質の活動に重きを置いた中小企業支援政策?
実質・現場・現実を、強みに「する」のも、弱みに「なる」のも事業者次第。
事業者次第の潮流が加速する「今」、協同組合のための事業者ではなく、
事業者のための協同組合法の「目的」を深掘りすれば・・・。
(令和2年12月④記) つづく